リリーは若いながらも、秘書を派遣する会社の経営者。
事業は順調に拡大していた。
少なくとも、今日までは……。
それが今、派遣した秘書の失態で、すべてを失いかけている。
怒ったクライアントは一方的に契約の打ち切りを告げてくるし、小さな会社には致命的な悪い噂さえ流されかねない勢いだ。
なんとしても、そんな事態だけは避けなければ! リリーは先方の会社に駆けつけ、経営者のザックに直談判した。
必死に弁明し、解決策を提案していたというのに、ザックは熱いまなざしで彼女を見たかと思うと、こう言ったのだ。
「君が僕の秘書として働く。
どうだい? これが僕の提案だ」プルーデンスは一躍、時の人になった。
子守りとして面倒を見ている子供を身を挺して交通事故から救い、そのことが大々的に報道されたのだ。
彼女としては当然のことをしたまでだったが、思いがけないところから仕事の話が舞いこんだ。
アイリッシュ海に浮かぶモンヒレグラ島の王室だ。
妻を亡くしたプリンス・ライアンの子供の世話をしてほしいという。
ライアンからじきじきに説得され、プルーデンスは承諾した。
彼は世界中の女性の憧れの的。
実際、たまらなく魅力的な男性だ。
身分違いだとわかっていても、彼女は惹かれずにはいられなかった。
君も一族の人間なのだから、レストランの立て直しに力を貸してほしい。
新たに事業の責任者となったマックスにそう頼まれ、ルイーズの心は揺れていた。
PRコンサルタントとしては店の再建におおいに貢献できるだろう。
だが、この仕事を引き受けることは、四六時中マックスのそばで過ごすことを意味する。
二人はこれまで、できる限り接触を避けてきた。
顔を合わせれば言い争いが始まり、最後には大喧嘩になるからだ。
そして、ルイーズはだれよりもよく知っていた、その理由がお互いに対する激しい情熱と欲望であることを。
リジーはニューヨークのホテルで働くコンシェルジュ。
そのホテルにヨーロッパの小国ベロリアの王室一家がやってきた。
王子コンラッドの主催する慈善舞踏会がこの街で開かれるのだ。
プレイボーイとして名高い王子だが、その魅力は本物だった。
ハンサムな王子を狙う女性は数多く、目下ある女優が彼とのスキャンダルをもくろんでいた。
王子との仲を取りざたされれば、話題の人になれるからだ。
彼としては、自分ではなく慈善活動にマスコミの関心を集めたい。
そこで考えたのが一般人を恋人に仕立てて醜聞を回避し、なおかつ舞踏会にマスコミの目を向けることだった。
恋人役に白羽の矢が立ったのは、なんとリジーだった!整形外科医のリリーは新しい職場での仕事に期待していた。
おしゃれをする暇もなく、恋愛も結婚も考えられない毎日だが、それもこれも、すべては医師として成功するため。
ここで認められれば、夢がかなう日もそう遠くはないはずだ。
初めての出勤日、彼女は意気揚々と病院に向かった。
そして、一人の男性とめぐりあう。
エキゾチックな顔立ちの顧問医ラザック・ハレド・ハーン。
目が合ったとたん、リリーは彼から視線をそらせなくなった。
心が通い合うような不思議な感覚にとらわれたのだ。
だがこのときのリリーはまだ本当の彼について何も知らなかった。
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